外壁塗装の吹き付け塗装のメリット・デメリットを解説

吹き付け塗装とは、スプレーガンによって、壁に吹き付ける塗装法です。吹き付け塗料にはどんな特徴があるのでしょうか?

結論から言えば、吹き付け塗装のメリットは施工時間が短く、費用が安い点です。しかし現在は吹き付け塗料をすることあまりありません。なぜなら吹き付け塗装はスプレーによる塗料が飛散が激しいためです。

外壁塗装業者が一番気にかけるのは工事の安全性と、近隣に対する配慮です。しかし、吹き付け塗装は飛散が激しく、どんなに気を付けても飛散を完全におさえることができません。

また、時代がモルタル壁から、サイディングボードにと変わったことで吹き付け塗料を行うことがめっきり少なくなったのです。

それでは本日は外壁塗装で30年親方をやっている私が、吹き付け塗装について解説いたします。

吹き付け塗装とは?

通常の外壁塗装では、ローラーや刷毛を使った「手塗り」がメインですが、吹き付け塗装とは「スプレーガン」という専用の道具を使って、スプレーによる霧状で外壁に均一に吹き付ける塗装方法です。

後ほど説明しますが、ローラーよりも塗料の量を多く使い、飛散が多い施工法ですので職人はマスクで防備して塗装を行います。

吹き付け

また吹き付け塗装は、住宅地よりも工場・倉庫等の塗装面積が大きくて近隣への影響が少ない場所で、効率よく行う塗装に向いています。吹き付けはローラーよりも早く・安く施工できるので、そういう意味でも、吹き付け塗装は広い範囲の塗装に最適です。

トタン屋根の塗装など、屋根の塗装にも吹き付け塗装は使われますが、塗料の飛散がとにかく多いので屋根もローラーによる塗装が一般的です。

吹き付け塗装はモルタル壁によく使われる使われる施工方法です。(モルタル外壁についてはこちらの記事をご覧ください → モルタル壁の外壁塗装|特徴、時期、手順、おすすめ塗料 )

しかし、昨今、モルタル壁は減り、サイディングボートが普及しているため、吹き付け塗装をする機会はさらに少なくなっているのが現状です。

吹き付け塗装のメリットは?

もし、「効率的に安く、早く塗装して欲しい!」という依頼があれば、吹き付け塗装が最適ですが、塗料の飛散が多く、近隣に配慮が必要な吹き付け塗装は、日本ではサイディングボートの普及により施工そのものが少なくなっています。

①重厚感のある複雑な模様の実現

具体的には、重厚感があり複雑な模様のリシン仕上げ、スタッコ仕上げのモルタル外壁に特に使われるのが吹き付け塗装です。下記はタイル仕上げですが、このように立体感を出す塗装が可能です。


SK化研ホームページより画像引用)

 

②施工時間が短く・安い

スプレーガンによる塗装は、施工時間を短くできます。施工時間を短くできれば、工事費用が安くなるというメリットにつながるのです。手塗りの2倍から3倍は早いと言われています。

工期が短くなれば、費用も安く済むのでこの点は最大のメリットになります。ただし養生の時間は、ローラーよりかかりますので、養生の手間のかかる戸建てより、工場の大きい壁やシャッターのような広い平面の塗装に向いています。

③施工場所が狭くて、作業が難しい時

ローラーの場合は塗料缶やローラー、刷毛が必要ですが、吹き付け塗装の場合は、スプレー一つで済むので、ローラーより狭い場所の施工に向いています。

吹き付け塗装のデメリットは?

まず吹き付け塗装とは、塗料が飛散する施工法です。ですから日本のように近隣に対する配慮が強く求められる国には、全く向いていない施工法です。業者も施工の安全と近隣に対する配慮を気にしますから、現代ではあまり吹き付け塗装は行われていません。

①塗料を大量に使う

吹き付けのため、塗料が空気中に大量に飛散します。そのため塗料を大量に使うのです。ローラーに比べて塗料を多く使います。塗料のうち20%も塗料が空中に飛散してしまうため、施工中の安全が問われる集合住宅には向いていません。

②養生に時間がかかる

養生とは、飛散防止用シートや塗装しない部分をビニールやテープで保護することです。吹き付け塗装は空気中に塗料が多く飛散しますから、通常のローラー塗りより、多くの場所を養生しないと、塗料が付着してしまいます。

また、ぶっちゃけますと、プロが完全養生しても、塗料の飛散は完全には防げないのが吹き付け塗装です。

③塗装が難しい

吹き付け塗装には技術が必要です。また、昨今はローラーによる塗装が主流のため、塗料の飛散が激しく、施工中にクレームが来る、吹き付けを嫌がる業者もいますから、吹き付け塗装ができる業者自体少ないです。

塗装はムラができないように、同じ速度で上から下へ、あるいは右から左へとスプレーガンを吹き付けます。ガンの動きにムラがあると、そのまま色ムラにつながります。

④厚塗りが難しい

吹き付けによる厚塗りも可能ですが、塗料を多くつかいますから、厚塗りに向いていません。

ただ塗膜には最適な厚さがあるので、厚い方がいいというわけではありませんし、また吹き付け塗料は密着性が高い施工法ですから、厚塗りではないから、ローラー工法に耐久性が劣るということはありません。

⑤吹き付け塗装した壁の補修の仕上がり

例えば、吹き付け塗装した壁にヒビが入った場合、その部分の補修を吹き付けで行うわけですが、吹き付けだと、どうしても新しく塗った場所が目立ってしまい、補修しない壁と補修した部分にギャップが生じるため、自然な仕上がりが難しいのです。

⑤騒音がする

ローラーと違い、スプレーは機械ですから「プシュ―」という騒音がしますので、施工中は隣家に事前に挨拶しておいた方がよいでしょう。※余談ですが、足場を組む際もハンマーの音が響きます。

吹き付け塗装と手塗りの違い

先にあげた、吹き付けのメリットとデメリットをふまえて違いを表でまとめてみました。

  吹き付け 手塗り(ローラー)
塗装道具 スプレーガン ローラー
塗料の飛散 非常に多い 少ない
塗装時間 短い 長い
仕上がり 凸凹のある立体感の仕上りに 表面的な仕上がり
凸凹な壁の対応 もともと凸凹している外壁には難しい 毛が長いローラーを使えば凸凹にも対応する

吹き付けの3つの仕上げを紹介

スタッコ仕上げ

下記のような壁を”スタッコ仕上げ”と呼びます。マンションや大型ビルによく使われる仕上げです。仕上がりには変化があり、石造り風の質感や重厚な仕上がりが、安い価格で可能です。

SK化研ホームページより画像引用)

 

スタッコ仕上げの工程は以下の通りです。

①シーラー吹き付け
②仕上げの2回吹き付け

リシン仕上げ

リシン仕上げは古くからある仕上げ方法で、現在も新築においてよく使われています。スプレーガンから塗料と同時に細かい石も吹き付ける仕上げです。

sk%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%b3SK化研ホームページより画像引用)

リシン仕上げの工程は以下の通りです。

①シーラー吹き付け
②仕上げの2回吹き付け

タイル仕上げ

下記のような、立体感のある仕上げを”タイル仕上げ”といいます。吹き付け塗装と、ローラー塗装の両方で行う塗装です。最初に玉吹きを行い、凸凹をつけ、その後に仕上げにローラー塗装を行うことでタイル仕上げになります。

SK化研ホームページより画像引用)

タイル仕上げは、下記のような工程をとるため、施工が大変です。このように吹き付けとローラーの両方を使う施工方法です。

①シーラー吹き付け
②玉吹き(立体感をだす)
③仕上げの塗料2回塗り

吹き付け塗料の種類は?

手塗りのローラーと同様に、大手メーカー等からいろんな種類の塗料が発売されています。

・アクリル塗料
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・フッ素塗料

塗料の種類によって、塗料の耐久性や機能が変わってくるので、塗料の種類については下記のまとめ記事をご覧ください。(塗料の種類はこちらから→塗料の種類の選び方と注意点|外壁塗装

吹き付け塗装を選定するポイントとは?

ポイント①立体感のある仕上がり

まず下記の写真のような立体感・重厚感のある仕上がりを求めるなら、吹き付けを選びます。しかも吹き付けのメリットは、立体感が長持ちすることです。

 

ポイント②吹き付けは塗料の飛散が激しい

とにかく養生や飛散防止シートできっちり保護しないと、吹き付けは塗料の飛散が激しい工法です。完全養生をしたとしても、どうしても飛散が防げないのです。

もし、近所や庭に塗料の飛散が気になるのでしたら、ローラーによる手塗りがいいでしょう。また臭いも吹き付けは強いので、この点も塗装方法選びのポイントになります。

ちなみに現在では吹き付け塗装はあまり行われていません。どの業者も施工中の安全面や近隣の配慮を注力するので、業者は吹き付け塗料を好みません。

ポイント③工事費用で選ぶ

吹き付け工法の方が、施工期間が短く工事費用が抑えられます。しかし、そもそも吹き付け塗装ができる業者がそんなに多くないので、「吹き付け塗装でお願いします」とお願いしても、断られることもあると思います。

吹き付け塗装のまとめ

吹き付け塗装を解説しましたが、そもそも業者は施工中の安全性や近隣に対する配慮を大切にするので、吹き付け塗装をする機会は少なくなっています。また時代はモルタル壁からサイディングボートに変わっているのも原因です。

そしてユーザーの側から「吹き付け塗装」をお願いするような機会もほぼないでしょう。

もし吹き付け塗装を検討するようなことがあれば、メリットとデメリットを踏まえて塗装法を選びましょう。

そして外壁塗装は複数の業者と相見積もりするのが、一般的で安く適正価格で塗装できる可能性が高いからです。その場合一括見積サービスを使って、3社程度業者を紹介してもらってください。

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